必要なカタチ、
自由につくるミライ

ヒノデホールディングス株式会社

scroll

NEWS

古くて新しい鋳物

溶かした金属を型に流し、様々な製品を生み出していく。
紀元前3000年頃にメソポタミアで誕生した鋳物は、古来より人類の文明を支える存在であり、型に流し込めば必要とするカタチが得られる便利で身近な技術でした。


それがなぜか今では時代の片隅に追いやられてしまっている感があります。
しかし、ヒノデにとって鋳物は過去のものではありません。
鋳物は真中(まなか)の現在であり、そして未来なのです。

鋳物への誤ったイメージ

金属製品をつくるのに、鋼材は切ったり曲げたり溶接したりが必要ですが、鋳物にはその必要がありません。
なぜなら鋳物は一体化したものとして、自由なカタチを手に入れることができるからです。
それほどの大きなメリットがあるにもかかわらず、社会の中でうまく使われているかというとそうではありません。
その理由の一つは、材料進化の更新情報が使う側に十分に伝わらず、アップデートされないまま止まっていることがあると思います。


例えば、鉄系の鋳物である鋳鉄は、すでに70年程前に強靭な強さを持つダクタイル材質が開発されており、大手の自動車会社などでは早くから自動車の足回りや排気系部品という重要パーツに鋳鉄を使用し、系列の鋳物工場でそれをさらに進化させて使用しています。
そのような状況にもかかわらず一般においては、昔のねずみ鋳鉄の脆くて割れやすいイメージがなぜか定着しており、いまだに建築・土木分野などでは、マンホール蓋等の一部を除き、鋳鉄が構造物として積極的に使える材料とは捉えられていません。

鋳物の専門分化からくる限界

鋳物が世の中でうまく使われていないもう一つの理由は、作り手側に問題があるのかもしれません。
鋳物は原型となる型を一つ作れば、大量生産が可能です。
しかし、溶かして流し込む金属の種類や製品のサイズ、形状、重量ごとに、鋳造ラインや鋳造プロセスが大きく変わるため、そこで必要とされる技能も大きく変化します。


そのため鋳物メーカーは、その専門性や特殊性のもとに構造分化し、自社の生産設備で可能な仕事だけを請け負い、品質を維持しながらいかにコストを抑えて量産するかということだけに注力してきました。
しかしながら、今までになかった新しいものを作ろうと考えるユーザーからすると、この専門分化された鋳物メーカーの構造からは、なかなか自分たちが求めるような新しい発想が出てこないという不満があったかと思われます。

便利な鋳物を新しく使うには

これまでのように、同じようなものを長く作り続けることで事足りた時代であれば、鋳物メーカーはこれで良かったのかもしれません。
しかしながら、脱炭素社会やSDGsに見られるような大きな価値変換とグローバル競争を求められる環境下では、これまでとは異なる新たな性能や機能を持つ鋳物製品を作りたいという企業の要求に対して、鋳物メーカーもスタンスを変えていく必要があると考えます。
そこでヒノデは、新しいもの作りに挑戦するユーザーから頼りにされる存在になるために、次のような3つの要素を併せ持つことを命題として設定致しました。

1.グローバル競争を生き抜くユーザーから新たな課題解決を頼られるためには、まず、様々な材質の鋳物作りにおいて幅広い知識と経験を保有すること。 2.コミュニケーションをとる対象が鋳物の専門家とは限らないため、しっかりとした科学的な理論的根拠を持つと同時に、それをわかりやすく説明できる能力を会社も人も併せ持つこと。 3.グローバル競争下においてはユーザーにとってはスピードやタイミングが何よりも重要な要素となってきます。そのため、試作検証や量産試作という最も時間を要するステージにおいて、従来のような時間のかかる試行錯誤を繰り返すことのないよう、実現可能性の検証が着手以前に完了しているような、新しいサイエンスの力を加え持つこと。

新しい鋳物の総合的なプラットフォーマー

ヒノデは、鋳鉄を使った鋳物製のマンホール蓋という、路上に架けた小さな橋ともいえる構造物の市場と長年向き合い、設置環境の異なる全国ほとんど全ての事業体顧客の要求に応えてきました。
その結果が独自の鋳物技術や鋳鉄材料技術の進化につながり、鋳鉄は使用できないと思われていた建築・土木分野においても、橋梁に使用する鋳鉄製床版などの製品開発に成功することができました。
さらに現在では、材料面においては、鋳鉄や鋳鋼のほかに、グループ会社が持つアルミやステンレスなどの多様な材料を加えて、材料技術の幅を一段と進化させることにも成功しています。
また生産技術面では、超多品種少量生産を効率的に行う自動造形技術、三次元砂型積層、アルミ鋳造や精密鋳造に適したロストワックス製法、さらには精密加工等の高度な製造技術を保有しており、このことにより工作機械や産業用ロボット、半導体製造装置等の産業機械分野や自動車分野にも、新しい価値が提供できるプラットフォーム体制を作り上げてきています。


言い換えれば、これまでの100年の鋳物技術と鋳鉄技術という経験に加え、新しい性能・機能を持つ幅広い材料開発にリソースを集中させてきた結果が、今では最先端テクノロジーによる解析技術を駆使したナノメゾレベルでの材料の組織形成プロセスを見取れるまでの実力を持った新しいヒノデを創り出していると言えるのかもしれません。
そしてさらに、現在導入を進めているサイバーフィジカルなど、新しいサイエンスの力が加わることにより、今後は事前の検証能力と開発スピードまでもが飛躍的に高められていくはずです。

ヒノデの鋳物がつくり出す新しいミライ

ヒノデは今、鋳物の材料開発技術や構造設計技術、そして生産技術を根本から改革しようとしています。

その私たちヒノデが目指すのは、「必要なカタチ、自由につくるミライ」です。

ゴールとする「性能」を得るために、材料設計から鋳造・加工・熱処理工程までの最適仮説をつくりだし、
サイエンス化された検証プロセスを経て最適な「カタチ」に素早くたどり着く。


そんなヒノデが見すえるのは、未知の「カタチ」がつくり出すサスティナブル社会という次なる新しい「ミライ」です。